ヒマワリ君の甘い嘘
「だから、うつっても知らないっつったのに」
日向くんは、呆れたように下を向いた。
「…え?」
「風邪。絶対俺のうつっただろ」
日向くんはそう言った後、うつるようなことなにもしてねーのに、と呟いた。
ひ、日向くんってこんなキャラだっけ……!?
爆発しそうな思考で、日向くんに言われた言葉を頭で理解しようとする。
あ、そうか…
昨日、風邪引いている日向くんの家に行ったから………
「悪かった。やっぱり家に入れるんじゃなかったな」
どうして日向くんが謝るの。
私はお粥の感想聞けただけでも、あんなにも舞い上がって、嬉しかったのに。
「…日向くんは悪くないよ!……私がバイキン吸い込んだのが悪いんだよ!」
自分でもわけのわからないことを言っている気がする。
そして、その後に酸欠にでもなったように頭がクラクラした。
「ふはっ」
少しだけ息が荒い私に対して、日向くんはケラケラと笑い出す。
これで三回目。
今までで一番楽しそうに笑っている。
それがなんだか嬉しくて、
胸がキュッと締め付けられた。
「なんだよそれ、バイキン吸うって…!」
ふははは、とお腹を抱えて笑う日向くん。
そんなに笑わなくてもいいのに…___
だけど、どうしてか私も自然と顔が綻んだ。
普段笑わない日向くんに釣られて、私も一緒に笑ってしまった。
二人だけの空間に、笑い声が響く。