ヒマワリ君の甘い嘘
side boy
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「俺ら、中学の時に会ってる」
俺はそう言って、また視線を下に向けた。
そうだ。
俺たちは、あの日あの場所で、
同じ時間を共有した。
目の前で呆然と俺を見つめるのは、あの時俺の隣に居た人。
可愛くて、
優しそうで、
好きだった人。
俺はとうとうその言葉を口にしてしまった。
大きな塊が心臓から抜けたみたいで、身体の力が抜けそうになる。
立花は、表情を固めたまま、瞬きもせずにただ俺の目をまっすぐ見つめていた。
時間が止まったかの様に。
「雨の日、会ったろ。俺と」
理解して、反応できていないのか
それとも、俺のいっていることが理解できていないのか。
「…ちゅう………、が………く…?」
「そうだ。………分かるか?」
そう言ってから、しばらくして、立花は唇を噛んだ。
どういう気持ちなんだ…?
あの時、会った人が俺だと理解して…