哀しみの瞳
あまりにしゃべらない秀の様子を見て。



(甚一)
「何か、話したくない事があるなら、今は、話さなくていい!
それと、どうやら君は、頭の方は、鍛えてるみたいだが、体は、全く成って無い!明日からは、少し、わしの側で、体を鍛えるとよい!そこから、始めればいいが、どうだ?」



(秀)
「分かりました。此処まで連れて来て頂いただけでも、感謝しないといけないと思います。明日から、宜しくお願いします。」礼をした際、脇腹に痛みが走り、顔を思わず歪めてしまってた。


(秀)
「いたたたっ!」


(甚一)
「明日からは、そんなもんじゃ、すまんぞ!覚悟するんだな!」


(美佐子)
「あなたぁ、何もまだ分からない人に、そんなに、厳しくしなくても…」



(美紀)
「そうよ!父さんは、人に厳し過ぎるのよ!秀さん?ええっと!秀さんでいいかしら?
秀さんも、まともに、受けない方が、身の為よ!!」



(秀)
「いえっ、この位の方が、今の自分には、丁度良いのかもしれません。すべての事を、一からやり直したいんです!どうか、鍛えてください」


(美佐子)
「まぁ、今日の所は、この辺で…二人共食事にしましょ!美紀ちゃん手伝ってちょうだい!」



この親子の会話は、とても楽しいものであった。
それぞれが、心の底から、思っている事をそのまま、ぶつけ合い、何ら包み隠さずに話しをする。秀には、まるで出来なかった事だ。思わず聞き入ってしまい、苦笑いをしてしまう秀であった。


(甚一)
「美佐子!こいつに部屋を用意してやってくれ!それと、寝間着もな?」


(美佐子)
「はいはい!分かってますよ。もうっ、一段と元気になっちゃって、まるで生き甲斐を一つ、見付けてきたみたいだわ!はっはっはっ!」
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