哀しみの瞳
(秀)
「美紀さんの言う通り、もしかしたら、今頃……
俺には、どうしてやる事も出来ないんです!こうしている間にも………
何で…何もしてやる事が出来ないなんて…最低な男だ!今頃もしかして、どれ程苦しんでいるかと思うと……」秀は、涙が溢れそうになるのを、必至で堪えていた。



(美紀)
「秀さんの言う通りだとしたら、彼女は、きっと今一番、秀さんに、側に居て欲しいと本当は願っているはずだわ!でも、それを、分かってて、自分一人で産もうと決意した、その彼女は、凄いって思うわ!何て気丈な女性なんでしょうって、私からすると思うけど…」



(秀)
「此処にいる俺は、何の役にも立ってやれない!」
頭を抱え込む。



秀の苦悩する姿を見ても、どう声を掛けてやれば良いのか、言葉が見つからない美紀であった。


そうしていると、今度は美佐子が、奥から、起きてきた。



(美佐子)
「どうしたの?美紀!……ええっ!秀さんっ!何かあったの?」


(美紀)
「秀さんね、何か異常に胸騒ぎがするって、……」


(美佐子)
「えええっ、どういう事?」美紀が内緒話のように、美佐子に耳打ちをする。



(美佐子)
「えええっ!そんなことって、あるのかしら?……
余程お互いが想い合ってるのかしら?……だから、相手の女性の想いが秀さんにも、伝わるのかしらねぇ?二人がどれだけ、離れていても、通じ合ってるって事よね!」
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