哀しみの瞳
ピアノの音が園内に響きわたり理恵の歌声が、聞こえる。秀一は、この声を聞きながら、本を読んでいる時が一番好きだった。


秀一は、もうすぐ5才になろうとしていた。



(園長 嶋田)
「理恵さんが、唱うと、何か違う歌のように聞こえてくるのは、何故かしら?本当にっ綺麗な声だわよねぇ!園内に響く渡ってるわ!」


(理恵)
「高校の時に、コーラス部だったんです。最初は、声が全然でなくて!先輩一人ひとりに特訓を受けて、発声練習から教わりました。今その時の経験が生かせるなんて!あの時は思いもしてなかったんですけど」



(嶋田)
「ええっ!理恵ちゃんが、声出なかったなんて…想像もつかないわ!ピアノは完璧だし…声は綺麗だし。やっぱり保母さんが希望なだけはあるわよね? そうだわっ!何だったらしゅうちゃんにも、ピアノ教えてみたら?少しは、上達するかも。」



(理恵)
「ええっ!秀一にですか?あの子には本を読んでる方がお似合いなんです。それに、ピアノは、きっと苦手だと思いますし。園長先生もそう思われたでしょ?」


(嶋田)
「あらっ、じゃぁしゅうちゃんには、やっぱりお勉強の方がお似合いなのかしら?
理恵ちゃん?始めて聞くけど。しゅうちゃんって…もしかしてお父さん似かしら?」
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