哀しみの瞳
秀一は、園の誰からも、可愛がられていた。理恵にとって、何よりも嬉しい事であった。何処に秀一がいても、誰か必ず気にかけてくれている。そう思えるだけで安心して仕事が出来るようになっていた。

家に帰ると、おばあちゃんが、最近では、秀一の帰りを首を長くして、待っていてくれた。



(重子)
「理恵ちゃん!今日ね、街へ用事があって、出掛けたんだけど、ついでに本屋さんに寄って、しゅうちゃんに本を買ってきたんだよ!誕生日にはまだちよっと早いんだけど…お店の人にまだ5才の子供には、早いって言われたんだけど、しゅうちゃん喜ぶと思って」



(理恵)
「おばあちゃん!いつもいつも、本買ってくれて、有難う!
秀一っ?」



(秀一)
「はいっ!お母さん、何?」(秀一はいつの頃からか、理恵をお母さんと呼んでいた)



(理恵)
「おばあちゃんね!秀一に、また本買って来たんだって!はいっ!」



(秀一)
「重ばあちゃん!いつも有難う!すぐに読んでみたいから、部屋へ行ってもいいかな?」



(重子)
「ああっ、いいよ。この子は本当に利口な子だね!理恵ちゃんが、しっかり育てたせいだよ!まったく、感心するよ!あんたには!」



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