哀しみの瞳
夕食の準備をしていると 3人がやってきた。 理恵は、とぼとぼと最後に入って来た。 沙矢に、押し出されるように、理恵が僕の前に現われた。会えない日時が何と長く感じたことか! 今、前にいる理恵は、ほんの少し、大人っぽく、見えた。また、大きな瞳から、涙がこぼれそうになっている。 (秀)やっぱり、理恵は、泣き虫だなぁ。 (理恵)ひでぇっ?理恵ね!本当は、何度も、ひでの家の前まで来たけど、我慢して帰ったんだ。だってね、お父さんが、お前みたいなやつは!せめて、秀が、大学受かるまでぐらい、足手まといにならないように、家でおとなしくしてろって、母さんまで、そうよ!貴女が行けば、秀ちゃんは、優しいから、なんやかやと世話をやくのだから、行っちゃだめよって。 理恵は、今まで、そんなにひでの、足手まといだったんだぁーって、ごめんね、ひで、本当、ごめんねぇ、 でも、ひで、合格したから!理恵は嬉しいよー。 手には、御守りをしっかりと握って、理恵は一気に話した。僕は、思わず理恵を抱き締めた。自分も泣けそうだった。 心の中で呟いた。 理恵!!ごめん、ごめんよ!!もう、こんな寂しい思いは絶対させないよ! (武)えへーん!そこの、御二人?俺たちのこと、忘れてはいませんか?ってぇの! (沙矢)はいっ、その通り!しかも、夕食の準備がまるで進んでおりませんが! (武)はいはい!そこのロミオとジュリエットさん!映画の時間は、終わりましたよ!これから、秀の、壮行会の始まりですからぁ! (沙矢)ああっ、そうでした。そのこと、すっかり、忘れてました。改めて、御二人共、おめでとうございます!理想通りの未来に向かって、勇敢にお進みくださいませ! (武)やぁ、沙矢ちゃん!君は、実に、ズバリ!面白い事を言うね。未来~とは。俺は、教師、秀は、弁護士、二人共、かっこいいでしょう! (理恵)ひでは、なんで、弁護士になるの? (武)ええっ、理恵ちゃん、聞いてないのか?
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