哀しみの瞳

哀しみの瞳~理恵~

新しい年を迎え、理恵は、まごころ園の新年の行事に追われていた。
理恵は、ここのところ、由理を、おぶって仕事をしている。誰が抱いても、泣きやまないが、理恵がおぶると泣きやむので、理恵が、いつもおぶって仕事をせざるを得ないのである。
秀一が、抱いて寝かせると言って訊かないが、3ヶ月程の赤ちゃんは、5才の子供には、まだ無理だから、と、言い聞かせて、理恵が一日のほとんどをおぶって寝かせている。
っと、また、いつもの、目まいが来た。ここのところ、頻繁におきるようになってきた。
なるべく、園の人達には、気付かれないように、気を付けている。心配を掛けたくはなかった。



その時、電話がなり、理恵が出た。


(理恵)
「はい!もしもし、まごころ園です」


(小林)
「〇〇総合病院の小林と申しますが、吉川理恵さん…」


(理恵)
「小林先生?吉川です!」



(小林)
「ああっ、丁度良かった。内科の先生から、連絡あって…2週間前に来たでしょう?…その時の事でちょっと気になるからって、僕からも話しがあるから、病院の方は、混雑するから、僕の研究所の方へ、来てくれるかな……」



時間と場所を教えてもらい、その日は、園を早退し、秀一と由理の事を園長先生に頼み、小林の居る研究所へ向かった。
何となく、理恵は、気が重かった。ずっと考え事をしながら、その場所に着いた。
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