哀しみの瞳
家に着いたら、おばあちゃんも心配して、待っててくれた。
最近のおばあちゃんは、由理の面倒も、よく見てくれて、やはり、助産婦なだけあって、扱いは理恵以上に上手い。理恵の体を気遣い、家事の殆どをしてくれている。
理恵は、おばあちゃんの為にも、なるべく元気で、側に一緒に居てあげたいと、つくづく思うのであった。


そうこうしているうちに、季節はながれ、秋も終わろうとしていた。ある日剛が久し振りに家に帰って来た。


(剛)
「吉川!この前より、また、痩せたんじゃないのか?お前は、それでなくても、痩せてんのに…やっぱ、二人も育てるのは、無理なんじゃないのか?なぁ!ばあちゃん!どう思う?」


(重子)
「そうだね!理恵ちゃんは、頑張り屋さんだからね。こうと決めたら、もう、まっしぐらなんだよね。昔から、そうなんだろうね?」


(剛)
「んんっ、そうだけど、体壊してんじゃないのか?
もう本当顔色、悪過ぎ!」


(重子)
「もしかしたら、入院って、言われてんじゃないかね?理恵ちゃん、私には、内緒にしてるだけかも…あんたからも、強く言ってやってくれないかい?」
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