哀しみの瞳
秀は、甚一や美佐子、美紀達の待つ家へと向かっていた。




理恵は、一体何を夢見てたのだろうか。



秀一は、電車の中では、余計なことは一切話さなかった。ただ由理の事をひたすら気遣い、自分がトイレに行く時でさえ、由理を連れて行っていた。



電車の窓から見える景色は、来る時と同じはずなのに、どうしてこうも、違って見えるのだろうか。




俺には、何の希望も、持てないでいる。ただ、今は、この秀一と由理をぼんやりと眺めているだけの自分が此処に居る。




ふっと、何故か秀一に問い掛けてみた。



「秀一?大きくなったら、何になりたい?」



「……僕は…由理を守ってやれる、強い人になりたい!……それだけ…」



理恵!!やっぱり俺はーーもう少し、生きていないといけないのかな?君の所へは、まだまだ行けないんだよな!
君と約束をした。
秀一と由理の事…


ぼんやりとそんな事を考えていた時由理が、俺の膝を叩いて来た。



「チュウのとうたん!」


「ええっ?」
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