哀しみの瞳
(美紀)
「やっぱり、本当の事を伝えた方がいいんじゃないの!秀ちゃんは、6才まで母子家庭で育って理恵さんの苦労を目の当たりに見てきて。秀さんに放って置かれたせいで理恵さんがあんな事になったって思っているんじゃないかしら?」



(秀)
「ええっ、多分そうだと思いますよ!ただ10才の秀に私達の過去の経緯をどう話せば良いのか……
まぁ6年間二人を放って置いた事には変わりはないのですから、その罰は罰として、受けないといけないって思っています」


(甚一)
「しかし、あれは、大人から見ると、子供のくせに、完璧すぎる!子供は、もっとやんちゃな位がいい!たまにはわがままを言ったり、暴れるくらいでないと、大人になって大変だぞ!どうして、ああも、利口ぶるのか?」


(美佐子)
「あらっ、あなたぁ、秀ちゃんは、利口ぶってなんかいないわよ!本当にお利口なんだもの、仕方ないでしょ?理恵さんがしっかり育てられたのよ…」


(美紀)
「10才であれだから、先が思いやられるわ!どういう大人になるのかしら?
ねぇ母さん!秀ちゃん頭いいから、会計士にでもなってくれないかな?」


(美佐子)
「何言ってるの!貴女は自分がなれないからって、秀ちゃんに期待してどうするの?貴女の方がどういう大人なんだか…こっちの方が思いやられるわ!」


3人共が秀一の事をそれぞれ心配してくれる事が秀には嬉しかった。
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