哀しみの瞳
由理は、中学に入ってすぐに、仲良くなった友達の高田紗織と、今日も、秀一のサッカー部の練習を見に行く為に帰りを急いでいた。



(紗織)
「ねぇ由理!隣りのクラスの立野さんに訊いたんだけど、立野さんのお兄さんと秀一さん、クラス一緒なんだって!それでまたまた訊いたんだけど、秀一さんって、めちゃめちゃ、頭いいんだって?でねっ!この間数学の時間に、何時らしいんだけど、先生から、問題訊かれて、誰も解らなかったらしいけど、最後に、(吉川!解けるよな!)って言われて、黒板にすらすらって、……先生も感心してたって!立野さんのお兄さんまるでちんぷんかんぷんだったそうよ!凄いじゃん!由理さぁ!家では、勉強教えてもらえるんでしょう?いいなぁ!そんな頭良いお兄さんが、家に居て……」



(由理)
「えええっ、そんなこと…だって、いつも普通に一緒に居るもの…あまり考えた事ないよ!それに、しゅうは、家では、勉強あんまりしないんだよ!学校行って、サッカーして、塾行って、まっすぐに家帰って、私の学校の話聞いて、それでお風呂入って一日が終わるの!毎日同じ事の繰り返ししてて、よく嫌になんないなぁって思うよ!まるでつまんない人って思うけど…」



(紗織)
「ええっ!何で?あんなにカッコ良くて、頭良くて、おまけに優しいんでしょ?最高じゃん!」



(由理)
「ええっ!そうかな?別に…最近もう、口うるさくて、嫌になっちゃうよ!」

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