哀しみの瞳
それから、一週間後。 俺は、いつもより、一本早い電車に乗り、武の所へ向かった。前に理恵と行った、資料館で待ち合わせをした。 「おぅっ!秀っ 久し振り、元気か?」 「ああっ、まぁな!」 「少し、やつれたみたいけど…大丈夫なのか?」 「この前、理恵と本屋に付き合ってくれて、ありがとな」 「おおっ、もう本題かよ! しかも、それだけ、言う為に俺を、呼び出したのかよ!」 「ああっ、そうだけど!」 「秀っ、お前はさー そういう所が、余裕が無い所っていうかぁ、だめなんだ! 自分が自分がーって所~見え見えだけど……俺は、ただ、出来る事しただけで、お前に、一つ一つ、いちいちお礼なんて、言われたくないけど!」 「そっか、悪かった! 律義だけが、取り柄ですからぁ」 (武)何だとぉーと言わんばかりに、げんこつで、胸を突く。 「俺、思うんだけど、理恵ちゃんってさ、今時、珍しい子だよな? 中学生としては、素直で~こうっ、まっすぐで、あのままでいて欲しいよな?」 「ふーん、そっかぁ」 「あんな家庭環境の中にあって、…だからだろうけど、凄く遠慮深くて……おまけに、可愛い!」 「そんなこと、俺が一番知ってる事!」 「俺っ!本当、理恵ちゃんの事、すきだわっ!」 「ええっ~ 武ぃ!お前ぇぇっ」 武に掴みかかる。 「いやいやっっっ、!! お前の次に!次だって、一生、ナンバー2ですからぁ、分かってますっ」思いっきり、突き放される。 「もう、本当、皮肉だよなぁ、理恵ちゃんからは、なんも、思われなくて、沙矢ちゃんからは、告白されるし。畜生!!!」 「はあーん?お前の大学には、他に良い子が、いないのかって!」 「お前に、言われたくないよ!!」 武は、本当いいやつだ。俺にとって、唯一心を許せる友達だ。