哀しみの瞳
「はぁーい、秀ちゃんっ?だったわよね?いらっしゃぁーい、お義姉さんから連絡きてたわよ、まだ何か片付いていないけど、どうぞ上がって!」待子おばさんが慌てて出てきてくれた。奥から微かに何を言っているのか分からないけど声が聞こえた。「理恵 ほらっさっき言ってたでしょう?秀ちゃんよ、ご挨拶しなさい」~「さぁ!あっちへ行って一人で」そう言われているにもかかわらずおばさんと一緒に見え隠れしながら、その子は僕の前にやってきた。何て顔色が白いんだろう!こんなに色白な子が世の中にいたのかと思うくらい驚かされた上に声が小さくて聞こえない、何を言っているのかまるで分からなかった。「ひで?こんにちわ…理恵ですぅ…」しばらくして「5才ですぅ」僕をまっすぐに見てるその瞳の大きさにまたまた言葉が出ず~どうやらとても恐い顔をしていたらしく「ひで、こわぁーい…」最悪泣かれてしまった。「おばさん、ごめんなさい。僕はどうしたら…」「いいのよ、こっちこそごめんなさい。理恵はそれでなくても人見知りが激しくて今も困っているの。もし秀ちゃんさえよかったらまた家に遊びに来て理恵の相手をしてくれると嬉しいのだけど…」「僕だったら大丈夫です。必ずまた来ます」「そうっ、じゃぁ私からお義姉さんに電話して頼んでおくわ」「いいえ!ああっそれは僕が自分で母さんに」奥から僕とおばさんの会話を聞いてまばたきもせずにじぃーと見ている理恵と目が合った。でも逃げられた。最悪嫌われた?家への帰り道僕は理恵とどうやったら話せるかを考えた。その事ばかりを考えていたらあっという間に家に着いた。最後に僕を見ていたあの瞳が僕の脳裏を離れない。どうしてこんなに理恵の事が気に掛かるのかは自分では分からなかった。でもそれでもいいと思った。今まで知らなかった感情が溢れてくるのを自分でも止める事が出来なかった。この日を堺に僕の人生は変わってしまう事になる。