哀しみの瞳
由理は、今まで溜まっていた、想いを、一気に吐き出すかのように、話し始めた。



秀一は、時間を見て、最終が間に合わない事を確認し、家に電話をいれ、ここで由理を泊まらせる、と伝え、明日朝一番の電車に乗せるからと、迎えを、頼んでおいた。



(秀一)
「由理?……
何で、走って逃げたんだ?」



(由理)
「だって……しゅうったらさっ!女の子と一緒に歩いて来るから……
由理っ、しゅうのそんなとこ、初めて見たから……」



(秀一)
「あれぇ?…(由理の顔を覗き込む)俺が、女の子と一緒に歩いたら、だめな訳?」




(由理)
「………ダメじゃないけど…(下に俯きながら)哀しかった……」



また、泣き出しそうになる。



子供の頃と同じように、抱き締めてやりながら、



(秀一)
「由理だけの、しゅうからは、もうっ、卒業しようって思ったんだよ!俺だけでも、そう思わないと、由理が可哀相だろ?


しゅうなんか…遠いとこ行っちゃえって、言われた時そう決めた!


だから、女の子とも、付き合うし、仲の良い子もいるから!」



(由理)
「しゅう?由理ね!あれから、一杯後悔したの。何であんなこと、しゅうに言ったんだろうって………
ごめんなさい!由理はっ、しゅうが居ないと…………」言葉にならず、子供のように泣き出してしまった。



由理は、余程疲れていたのか、ベットで横にならせ、手を繋いでやると、そのうち、スヤスヤと眠ってしまった。



可愛い見慣れたはずの寝顔が、こんなにも、愛しいく思う…
何故…勢いに任せ、離れる事を選んでしまったのか?


さっき由理には、ああ言っては、みたものの、本当は、今でも後悔している。
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