哀しみの瞳
由理は電車で通学している。その日も同じように電車に乗り、偶然にも、座ることができ、手持ちぶさたになり、今朝もらってきた書類のことが、ふっと気になった。
(父さん…何か少し様子変だった気がしたけど…この書類、戸籍謄本って、なんだろうか?)



由理は、何故か気になってしまい、封印をしてある書類の封を解いて開けてみた。



ずっとたどって見ていくと………




養女ーーー由理



えええっ………
養女って、養女っていうのは、実子ではないってこと?



私は、父さんの娘じゃないの?




秀一のところには………実子 長男となっている。




私は、父さんの娘じゃなく、しゅうの妹でもない!




今日一日どうやっていたのか……授業の内容も回りの人達のことも、何も覚えていない。



心の中は、そのことで一杯だった。



私は、誰?私の両親は?私の記憶には、しゅうと父さんと…美佐子さん達しか居ない。いつも皆家族だった。何一つ疑いもなく、育ってきた。



それなのに………私一人が…他人!………血がつながっていないなんて…
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