哀しみの瞳
秀は、秀一が戻る頃に合わせて家で待っていた。



(秀一)
「ただいま戻りました。長い間戻らず、どうもすみませんでした。」



美佐子も甚一も、気を利かせ、事務所の方へ行ってくれていた。



(秀)
「お二人が、今来られる前に、お前と話しておこうと思うが…」



(秀一)
「俺は……迷うことは全然無いと思いますが。由理は、此処に居ると良いと思ってます。居て良いですよね?」



(秀)
「お前が、そう言うとは、元から分かっていた。……」



(秀一)
「貴方は…どうなんですか?そう思ってはくれてないんですか?」



(秀)
「……そうだな!俺は由理は、両親の元へ行った方が……そうすれば良いと思っている。」



(秀一)
「何でですか?……由理は、15年余りもの間、ここで、俺たち家族とずっと暮らしてきたんですよ!……もしかして、血が繋がってないことが、由理に知れてしまって、それでだからですか?……」



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