哀しみの瞳
秀一は、秀が思っている通り、悩んでいた。


由理にどう言ってやればいいのだろう?


由理に対する感情が、兄としてではない事に気付かされて以来、由理を妹として思い込むことが出来なくなっていた。



そんな中で、自分が兄として、何をどう言ってやれるのか、自信は無かった。


挙げ句に、秀からは、両親に返すことをはっきり言われてしまい、どうする術も無かった。



部屋に由理が入って来た。うっすら涙を浮かべていた。



どれだけ振りに会った為か…秀一にしがみついて来た。


(由理)
「しゅう?……何で…帰って来てくれなかったの?」


(秀一)
「ゴメンよ、由理!!……それより、そのっ!話し聞いて来た?」



(由理)
「うんっ!しゅうは、どう思う?父さんが言うように、由理は本当の親のところへ行った方が良いって思う?」



(秀一)
「……そうだな!……そりゃ、向こうは、本当の両親だからなぁ……やっぱり…」


由理の目を見ずに話す。
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