哀しみの瞳
(由理)
「そっか!……やっぱり…しゅうも、父さんと同じ気持ちなんだね?
由理は、本当の両親の所へ行ったら良いって……………判ったよ!…由理は……行くよ!父さんに…言ってくる。」
由理が部屋から出て行こうとする。
(秀一)
「由理!!!由理!」後ろから、抱き締める。
「由理!俺は…俺は…………」
言葉が出てこない。
(心の中では、叫んでいる……此処に居ろ!此処に居てくれ!ずっと此処に居て…俺がお前をしあわせにしてやるから……男として……)
由理は、秀一の腕を解き、出て行ってしまう。
今の秀一には、由理に掛けてやる言葉が見つからなかった。というより、本当の気持ちを言う勇気が無かった。