哀しみの瞳
別れの壁
秀の苦悩
(由理)
「えええっ!しゅう…今帰ったら………もうっ、帰らないの?じゃあ………由理とも、会えなくなるよ!しゅう!……」
(美佐子)
「そんなこと…言わなくたって、また、此処には遊びに来れば良いじゃないの!そんな会えないなんて…言わないの!」
(美紀)
「そうよ!秀ちゃんも!そんな冷たい言い方しなくても……また、会いに行ってやるからって、言ってやりなさいよ!まったく、何でそんなに冷たく出来るんだか!もうっ!」
(秀)
「由理!!もうっ、諦めなさい!秀一は、一旦決めたことは、曲げないのだから…由理!学校の支度しなさい!」
秀の一言で、由理は、黙り込んでしまった。
秀は、長い間…この二人を見て来た…秀一の気持ちも、由理の想いにも、とうに気付いていた。
二人の運命の哀れさを思わずにはいられなかった。
秀一は、どうやら自分の本当の気持ちに気付いたのだろう。
秀は、理恵の墓前に立っていた。
(理恵?
俺は…あの二人を…これから先…どう見守ってやればいいのだろう?
理恵?教えてくれないか?………)