哀しみの瞳
言葉を発しない日が、一日また一日と過ぎていった。


由理は、虚ろな目をして、ただベットの上から、外を眺めていた。



時たま、一人で部屋を出て、院内に本が沢山置いてある場所に行っては、一日中、本を読みふけっていた。


誰が声を掛けても、振り向こうとはしなかった。



時たま、泣いているように見えたという話しを看護婦さんから聞いた。


みち子は、深いため息をついた。


これから先、どうしたら、由理は、声をだし、言葉を取り戻せるのだろうかと………どうしたら……
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