哀しみの瞳
ドアを開けると、三人が、立ちすくんで待っていた。


秀と目を合わせるが、秀一は、ダメだったとばかりに、首を横に振った。と、その時



「いあーーーーーー」



由理の声が聞えてきた。



秀一が駆け寄った。



「いあっーーーダメーーーー」


由理が、叫びながら、秀一にしがみついてきた。



「由理!!!」



秀一は、由理を強く抱き締めてやりながら…


「由理!!もう大丈夫だからっ!」


秀一の目からも涙がこぼれ落ちている。



「しゅうーーーおいて……いかないで…………いかないで……ゆうり………ひとりに……しないで……」


大声で泣き崩れる。


まるで赤ん坊の頃のように秀一に抱き付いて来た。



秀一もそれに答えるように、さらに強く由理を抱き締めてやった。
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