哀しみの瞳
(みち子)
「私達のほうこそ、ごめんなさい!貴女を判ってあげれなくて、もうっ、いいのよ!貴女は、自分の本当の気持ちを大切にして生きて行っていいのよ!私達は、それで充分なの!ねぇ、あなた?由理がしあわせになるんだったら!」
(高橋)
「勿論だよ!由理?気付いてやらなかった私達は、親として失格だったな!まだまだ吉川さん達の足元にも及ばないようだ!」
(秀一)
「いえっ、そんな…由理を一生懸命可愛がって育ててくださったじゃあないですか!これからは、僕が由理をしあわせにしてやりますから………僕と由理とで一緒にしあわせになることを御許し下さい!」
二人で一緒に頭をさげる。
(高橋)
「おいおい…もうっ、改まっていきなり……(暫く考えこんで)秀一君、高橋 由理として嫁にもらってくれ!由理の父親としてお願いする!由理の事を宜しく頼みます!」
みち子と二人で頭をさげる。
(みち子)
「これで、由理ちゃんの誕生日が楽しみになりましたわ!秀一さんも、一緒に!由理ちゃん、本当に良かったわね?」
(由理)
「…………」
(秀一)
「また、言葉を無くしたか?」
四人の笑い声がいつまでも響いて止まなかった。