哀しみの瞳
秀は、夢を、果てしなく永い夢をみていた。
一面に広がるお花畑…
ずっと秀は、歩いていた。歩いても歩いても何処何処までも続いているお花畑……
いったい、此所は、何処なんだろうか?
ずっと向こうに若い女の人が見えた。
少しづつ、近付いて行くと…
その人が、秀の方を見た。
「理恵!!!………理恵だよね?……」その理恵らしき人は、気付かないのか、何も答えては、くれない。
秀は、もっと近付いて、理恵をどうしても確かめたかった。
「理恵!!俺だよ!判るよね?……理恵でしょ?」
自分は、歳をとってしまっているのに、そこに居る理恵は、どうみても、20代前半に見える。
と…その時理恵は、黙ったまま、手招きして、何処かに行こう!と、自分を誘っているように見えた。
何処へ、行くのか判らないまま、付いて行ってみた。
「理恵!!お願いだから、俺の手を繋いで?……」
理恵は、振り向きはするものの、秀とは、手を繋ごうとはしなかった。
理恵は、地上では、見た事も無い程の素晴らしい景色を見せてくれた。
秀に笑い掛けてくれはしたが、話すことは、一切無かった。
秀の問い掛けにも、何一つ答えてはくれなかった。