哀しみの瞳
秀は、秀一をベットの側に座らせた。
「秀一?何度も言わない!一度きりだ!俺は、一度だって、お前のことをそんな風に思った事は無い!!!理恵だって、同じだ!俺は、お前が居たからこそ、ここまで生きてこれたんだ!俺が唯一お前に言える事があるとしたら、後悔なんかしない生き方をしろってことだ。愛する人と共に生きて、生き抜いてやれ!そうやって、お前らしく生きていってくれさえすれば……もうっ、俺なんか、何も言うことなど無いから…
あと、お前に助けられたよ!もうちょっとで…理恵のところへ、行っちゃうとこだったんだ。お前が(父さんって)呼んでくれたから……」
「母さんのとこって?」
「ああっ、ずっと理恵と旅してた………ずっと…
でもな!理恵のやつ、最後まで、俺の手を…繋いでくれなかった。………」
秀の目からひとすじの涙がこぼれ落ちた。
(秀一)
(……父さんは、こんなになるまでして母さんのところへ行きたかったのだろうか、と秀一は思い、やはり涙ぐんでしまった)
「父さん!!俺たちの為に生きていて貰えないですか?俺や由理や秀護や…それから、由理のお腹にいる赤ん坊の為に…」
「えええっ?」
「ああっ、2人目が、生まれるんですよ!!だから、俺たちの側で、俺たちをまだまだ…ずーと、見守っててください!」