哀しみの瞳
その子が産まれたのは、まだ二月だというのに、春のような小春かな日であった。
一家全員が病院で見守る中…
その子は、弱々しい泣き声ではあるものの、まさに可愛らしい…
産まれたばかりであるにもかかわらず…
理恵をそのまま赤ん坊にしたような顔をして…
秀の、そして秀一の元にやって来た。
秀は、目に一杯の涙を浮かべ……
「理恵!!理恵っ、ようやく俺たちのところへ、帰って来てくれたんだね!」
甚一や美佐子達みんなが、涙ぐんでその様子を眺めていた。
【完】