哀しみの瞳

礼子の罠

理恵は、今週も秀が来れないことを、聞いて知っていた。

部長が話してた言葉が理恵の心の中で、巡りめぐっていた。

私は自分の想いを心の底にしまい込んでいる?心の底から命を燃やしていない!



どうしても、自分の気持ちを確かめたいと思った。


秀に会いに行こう!もっと自分の気持ちに素直になろう!!



土曜の授業が終わり、理恵はまっすぐ家に戻り、身仕度をした。母にも、もちろん父にも内緒だ。理恵には、母に内緒でコツコツ貯めている貯金があった。無駄遣いしない分かなりのお金が溜まっていた。このお金を使う事に何ら後ろめたさは無い。


「理恵?慌てて何処へ行くの?」


「ああっ、今日は沙矢と一緒に勉強するぅ」

「嫌に慌ててるのねぇ。本当に勉強?」


「遅くになるけど、心配しないで!」

「雨降りそうだから、傘持って行きなさーい!」

理恵は、母の言葉を聞くこともなく、駅へ向かって駆けていた。
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