哀しみの瞳
「そうっ?いつも有難うね。秀ちゃんには本当何から何まで世話になっちゃって、私達お義兄さん達に何て御礼を言っていいのか、もう、浩一の方がよほど世話が掛からないのよ」浩一はおじさんとおばさんとが結婚してから生まれた子供で4才になる。おとなしくて健康優良児のような子供だった。理恵はおばさんの前の旦那さんの子でおばさんはおじさんに対してかなり気兼ねがあるらしい。おばさんが向こうの部屋へ行ったとたんに理恵が話しはじめた。「つよし(剛)って子がね、いつもいつも理恵のとこに来て弱虫とか泣き虫とか言って嫌がらせをしてくるの。でも理恵、無視してたら、今度はほっぺをつねってきて理恵恐くて動けなくてびっくりしちゃって、そしたら何度もつねってきたんだよぉ…ひでぇっ。うええっーん」もう言葉にならなくて。僕は理恵の頭をそっと撫でていると、少し落ち着いてきたのか、「つよしがね、お前は色が白いから、そのぐらい赤くなったほうがちょうどいいやって、言ったんだよ、理恵の白い顔はいけないのぉ?」「理恵は泣き虫だし弱虫だしそれは本当の事だからそいつの言う通りだね。でも色が白い事はそれはとても素敵な事だから全然気にしなくていいんだよ。そいつはきっと理恵の白さが羨ましかったんだ。だからそんな事したんだ。それよりちょっと冷やしてあげるから、待ってて!」理恵は僕に話したことで安心したのかそのまま横になってしまった。しばらく冷やしているうちに僕の膝の上でスースー寝息をたて眠ってしまった。結局僕は抱いて部屋へ連れて行きベットに寝かせて家に帰った。その夜僕は考えた。どうやって理恵をその剛からのいじめから守ってやれるかを。僕はその時僕の持っている頭脳を最大限に屈指して理恵をいじめから守ってやる事ができた。僕は、確かに理恵を守ったんだ。その時は…だがしかし剛というその男の子が理恵のことを好きになることまでは止める事はできなかった。
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