哀しみの瞳
理恵は、秀との思い出深い、資料館に立ち寄っていた。その資料館は外に出ると、小高い所にある為、街が見渡せる良い眺めの所だった。


さぁ、どうする?理恵……
ここから貴方は何処へ行こうとしてるの?

自分に問い掛ける。



とっ、そこへ、一人の自転車に乗った男の人が近付いてきた。


「吉川っ?」


「えっ?」

理恵が振り向くとそこには、見覚えのある顔……


「俺っ、分かんないか?久し振りだもんなぁ!」



「ああっ、つよっ、いえっ、本田君っ?」


「やっ、本田君って、つよしでいいから」

「ええっ、でも、本田君がなんで此処に?」


「だって、オレん家、此処の近くだから、お前こそ、こんな所で何やってんだよ!えっ、しかも、そのカバン!何っ?」


「………」


「あああっ、何っ、もしかして、お前、 家出??」

「うんっ……」


「うんって、 えっ、うんっじゃなくて、とうするのよ!ええっ!まじで?」


「真面目だよ。こう見えて」


「そうだけど、それはっ、オレだって、知ってるけど、えっ、何で、ていうか!お前、今あそこで、泣いてただろう?横から見てて分かったんだ!」「って、どうするんだ?」



「決めてない!何処へ行くか」


「はあっー!子供じゃぁないんだからさぁ、行く所ぐらい決めてから、家出ろよ!まったく!!」「まったく、手ーやかすなぁー」



「貴方に、手焼かす為に此処にいたんじゃないから!」「私の事、昔いじめたくせに!」
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