哀しみの瞳
理恵の合格発表の翌日。お昼過ぎに、次郎の家の電話がなった。


(待子が出る)


「 ああっ、待子?私、みち子だけど!」


「はぁーい、みち子ねぇさん?昨日は電話だけでどうも。理恵そちらに着きましたぁ?電話掛かってくるの、待ってたんだけど」


「何言ってるの!待子!理恵ちゃん、貴女が言ってた電車には、乗って来なかったわよ!主人と二人で駅に迎えに行ってたのよ!なのに、待てど暮らせど、理恵ちゃん降りて来なかったのよ!どうなってるのぉ?理恵ちゃんまだそこにいるの?」



「ええっ!そんなはずは……だって、行って来るって、早い時間に、バック片手に出てったのよ!…」


(そんなばかな…じゃぁ理恵は、いったい何処へ行ったの?)


それからの待子は大変だった。
右往左往するばかりで。気が動転してしまっていた。

理恵!!理恵は何処へ行ったの?何処へ行くというの?

しかも、あんなに体調悪くしていたのに…あの子の行く所なんて…ああっ、沙矢ちゃん家に連絡をしてみよう。何か分かるかもしれない。
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