哀しみの瞳
第3章 夢と希望

理恵の出発

理恵は、剛と共に、おばあちゃん家に辿り着いていた。
おばあちゃんは、玄関の灯りを点けて、待っていてくれた。


(剛の祖母 和田 重子)

「剛ちゃん!いらっしゃい!久し振りだったねぇ!一度ぐらい前もって、来てから、こっち来るもんだよ!お前は、本当にっ…はいはい!荷物こっち…
それよか、そっちの人が電話で言ってた人かい?」



(剛)
「ああっ、突然、悪かったな!ばあちゃん!」


(重子)
「いいから、二人とも、こっち座って!」




(剛)
「まずは、自己紹介からだな?」


(理恵)
「初めまして!突然見ず知らずの家にお邪魔して…申し訳ありません。 吉川 理恵と言います。」


(重子)
「私は、剛の祖母で、和田 重子ですわ。63才にもうすぐなるんやけど…」


(剛)
「ばあちゃん!誰も、年なんか、聞いとらんから!」


(重子)
「それより、剛っ、この人は、お前の友達かい?」


(秀)
「ああっ、まぁーそのぅ。友達っていうか…」


(理恵)
「あのぅ、昔、この人私の事、いじめてたんです!」少しおどけて剛を見る。


(重子)
「ええっ!剛ちゃん、本当かい?
なんて子だろうね!この子はっ」


(剛)
「いやっ、ばあちゃん!俺は、そうじゃなくて…えーと」
照れくさそうに、モジモジする。



(重子)
「ああっ―剛ちゃん、お前、この人のことを、好きだったんじゃないのかい?もしかして。好きやから、いじめたんやろぅ?」


(剛)
「ああっ…そういう事やっ。それで、久し振りに会って…それがさ、何か、訳ありでさ!放っておけなくて…ついでに、連れて来た。


(重子)
「剛ちゃん、昔の罪滅ぼしかい?
それ位は、せんと、あかんよ!」


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