哀しみの瞳
(重子)
「どうして、その事。そのぅ、秀さん?っに、話さなかったのかい?
理由は、どうあれ、理恵ちゃんと、その人の子供なんだよ!」



(理恵)
「……本当にっ、悩みました。家族の中で置かれている状況からすると、もう絶対に熊本へ行かなくてはいけない状況でした。もう私に残された選択は、それしかないのか?って、そこへ行っても、私は、幸せなんて、全然思えませんでした。といっても、秀にも、両親の望んでる縁談話があって…母からも、遠回しに、秀からは、離れるように、言われるし。私は、どうする事がいいのか、ずっと眠れない日が続きました。」


(重子)
「可哀相にね!何でその年で、そんな思いしなきゃいけないのやら!行きたくもない所行かされるくらいなら、どっか、誰も知らないとこへでもって、思うよね?そりゃ、私でも、分かるよぉ!」


(理恵)
「もう、熊本へ行く日が、絶好の日だと思ってたから、準備して、出て来ました。それが、あの日、本当に、偶然本田君に会ってしまって」



(重子)
「これも、何かの縁なんだねぇ!剛ちゃんも、きっと、内心では、喜んでいるかもしれないよ!苛めてた事への後悔だとか、でも、元々好きだった事もあって…」



「いえっ、私、その事、利用したみたいに思われるの、嫌なんですけど…でも私、今は、本田君に、感謝しないといけないって思ってます。こうやって、おばあちゃん家に連れて来てくれた事を」
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