・約束・2
やきもち
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「・・・だからね、百合子さんがスタジオ入りしてくれただけで
ありがたいの」
「・・・うん」
私の話を、雅也は静かに聞いてくれている。
「ただ・・・スタジオで撮影に立ち会えなくなって、
仕事を途中で投げ出した形になってしまって・・・」
「それは、春夏のせいじゃないだろ?
むしろ、瀬戸川さんが追い出したんだし」
「ん・・・百合子さんにしたら、私が視界に入っていると気分的に
やりにくかったんだろうしね・・・気持ちは分かるの」
「・・・で、スタジオ追い出されて、その間どこで待機してたのさ?」
「スタジオの屋上・・・」
「あ~あそこか。 あのスタジオの屋上は眺めがイイよな」
「うん。・・・それで撮影終わって、
村上君が探しに来てくれて・・・」
「ん? 村上・・・くん? 初めて聞く名前だな」
「あれ?そうだっけ? 同じ部署で、今回一緒に組んで仕事したのよ」
「‘くん’・・・って、年下の男・・・か」