・約束・2
春夏がベッドへ歩み寄って来るのがわかり、
オレはベッドから身を起こした。


「あの・・・雅・・・」

言いかけた春夏の腕を掴み、引き寄せると春夏は
その勢いでベッドに腰を落とした。


オレの仕事を否定するような事を口にして悪かったと
謝る春夏は、本当に申し訳なさそうにしている。


「・・・他のオトコとキスしたのムカついたから
頭下げて謝って」


「う・・・ん。この度は、まことに申し訳ございませんでした」

素直に頭を下げる春夏が何だか可笑しくて、落ちた髪の間から見えた
うなじに口づけた。

・・・ホント、隙だらけ・・・


「雅・・・」

ビックリしたのか春夏はオレの顔をマジマジと見つめた。


「春夏はさ、隙ありすぎなんだよ。自覚しろよな」



「怒ってないの?」

「・・・怒ってるよ。自覚のなさに・・・」


謝る春夏の唇の形を親指でなぞる。

・・・この唇さえ、傍にいれないオレは守る事が出来ないんだ・・・


「結婚しても、油断できない・・・ってコトか」


うかうかしてたら、誰かに春夏を奪われかねないんだ・・・



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