・約束・2
「よーい・・・スタート」


百合子はさっきまでの話も無かったかの様に、妖艶な色気で演技している。
その瞳に吸い寄せられるかのように百合子の唇を奪った。

何度か口づけを交わし、そのまま縺れるように倒れこむ。

そして、見つめ合い唇を重ねる瞬間・・・


「はい、カーット!」




「・・・雅也君、お疲れ様」


「あ・・・お疲れ様・・・」


百合子は何事もなかったかのように絡み合ったシーツから抜け出すと、
ガウンを着てオレから離れた。


「雅也君とは久しぶりで、ドキドキしちゃったわ。
 あの頃を思い出しちゃった・・・」


「百合子?」


「・・・また、飲みにでも行きましょ。友人として」



「あぁ」





スチール撮りも同日で行い、すべての条件を果たした。
話題性にもなる映像が撮れたという事で、CMの放送前に
急遽会見を開くことになった。


オレにとっては、この会見が結婚発表するチャンスの場となった。





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