・約束・2
「だって・・・」



「今のは、単なる口止め料!」

そして、村上君は私の耳元で囁いた。



「嫌がらせするなら、雅也からアンタを奪ってるよ」




エレベーターの扉が開いた。

「着いたよ。降りないの?」


「あ・・・降りる」


村上君の言葉が、耳に残って離れない。

・・・どういう事・・・
村上君は、子持ちの私なんかには興味ないハズでしょ?
憧れの雅也と結婚した私にムカついてるんでしょ?




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いらっしゃいませ」


「お世話になっております。瀬戸川さんとお約束をしています
 小田と村上です」

村上君がしっかり話したので、急に男らしく頼りになる人に見えた。


「では、こちらで少々お待ちください」

通された部屋で、私たちは2人で暫くの間黙ったまま。




< 54 / 180 >

この作品をシェア

pagetop