・約束・2
雅也の腕が私を包み込む。

「オレの方こそ・・・ごめん」


「雅也は悪くないよ・・・」

雅也を見上げる。・・・いつになく真剣な顔だ。


「いや、オレと瀬戸川さんとの事で春夏を困らせたのは事実だよ」



「でもね・・・雅也の子を勝手に産んだ私も、
勝手に病院に行っちゃった百合子さんも・・・結局は自己中で
同じだな・・・って思えちゃって。
・・・同じ勝手な事してるのに、私には雅紀がいて。雅也とも結婚して。
私ばっかり幸せな気がして申し訳ない・・・」


「そんなことないよ」

「・・・雅・・・」


「春夏は、瀬戸川さんとは違う。
雅紀がデキた時、1番にオレの事を考えて身を引いて・・・
オレの前から消えたんだろ?
独りで産んで育てるのは大変な事なのに、春夏は雅紀を産んでくれた。
大切に育ててくれてたろ。

女優を続けたいからって自分を一番に考えた彼女とは違うよ。
勝手じゃない。自己中じゃないから」


「雅也・・・」


「春夏には感謝してるよ。誰に恥じる事も無い。
負い目だって感じなくていい。春夏はオレにとって、自慢の妻なんだよ?」


心の中でモヤモヤしていた霧がパーッと晴れた気がした。

「雅也」

「なに?」





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