平成侍の意地
あの挫折と悔しさから5年ほどの月日が流れた。 奴は知らない・・・俺が数々の厳しい苦難と試練を乗り越え、激闘の経験値を上げてきたことを。 

海外の業界では超有名なカリスマ経営者とデザイナ-が組んで起業し、今回のラスベガスより新たなハイエンドブランドがスタ-トする。 企画・生産に当たって先方が声を掛けてきたのは、もちろん天敵NO軍と我がH軍。 ラスベガス最高級といわれるべラ-ジオホテルのスウィ-トにて行われる極秘商談。 

J氏と俺が一つの空間で顔合わせ、初めて直接対決となる。

『いったれや』

年老いた百戦錬磨の我が猛将達が、帰り際に俺に微笑む。 夕日に照らされ、哀愁とともにどこか寂しげな彼らの後姿からは、とてつもない気迫が満ち溢れていた。 何度も諦め失いかけた誇りと野望・・・だが彼らもまた泥にまみれた闘志を捨ててはいなかった。 

その言葉を聞いた時、若き飛翔に望みを託した瞬間だと気付いた。 

たった一度の大きなチャンス・・・重くのしかかるプレッシャ-・・・真価が問われる逆境。 だがこの重圧が、一瞬の躊躇もなく、一つの偉業を成し得ようとする俺の集中力を高めてくれる。 背負う覚悟の分だけ、俺は可能性を手にしている。


男にはやらねばならぬ時がある


奇跡とは自分自身から始まるもの。 一片の妥協も許さず徹底的に自ら追い込み、得意とする企画提案型の営業・戦略・戦術・奇策など、数ヶ月前から完璧なまでに武力調整を行ってきた。 全ての面において過去最高に仕上がっており、

毛穴から吹き出るほどの闘気は凄まじく、これまでにない自信に満ち溢れている状態。 

武者震いがする・・・NO軍のJ氏とはどれほどまでの男なのか・・・早く真っ向勝負がしたい。 成長した己の力と未だ見ぬ可能性を試したい。 そして・・・“己の限界を超える瞬間”を肌で感じ取りたい。

一丸となって俺は最大の“合戦(いくさ)”へ挑む。 そして我らがH軍武士の怒涛の意地を見せる事となろう。 誰も成し得なかったNO軍の牙城を崩し、最後に笑うのは・・・・


俺達だ


我に武運あれ
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