好きで悪いか!
 そう結論を出して、雅紀の件は解決。

 今度会ったら言おう。
 先輩のことが好きだから、あなたとは付き合えませんと。

 けど、なんかどっかスッキリしない。あ、

“園田先輩がいるからとか、園田先輩と比べてどう、じゃなくって、私個人と向き合ってほしいです”

 自分が先輩に言った言葉を思い出す。
 友永先輩が好きだからという理由で、雅紀自身と向き合う気がない私も、先輩と同じ?


“俺どう? 意外とよくない?”

 うう~ん、そうだなあ。
 客観的に見れば、意外といいとは思う。けど、恋は主観だ。客観的に見て悪いと思うところさえも、いいと思えてしまうのが、恋だと思う。

 ドキっとしたり、キュンとしたり。
 雅紀に対して、そんな感情を抱いたことは一度たりともない。

「やっぱ、違うんだよなあ~」

 声に出して呟いて、ベッドにごろりした。

 あー、明日から夏休み。バイト頑張ろう。

 コンビニ前のバス停から三区間の距離にある、回転寿司屋でのホール係の仕事。
 田舎住まいということもあって、高校生で雇ってもらえて、通える手段があって、こっちの希望条件にも合うというところは、そうそうなかった。


< 11 / 62 >

この作品をシェア

pagetop