好きで悪いか!


 市立図書館の自習コーナー。

 アイボリー色の長机に三人、横並びに座って自習開始。
 一番奥に園田先輩、真ん中に友永先輩、その隣に私。

 はああ~、何じゃこりゃ。完全に、カップル+1の構図じゃんか。
 胸のうちで溜め息吐いて、のろのろとトートバックから筆記用具と教科書、まとめノートを取り出す。


 作業開始から、二十分ほど経過。
 やってらんねーわ、サボってやる。

 と思ったものの、先輩がすぐ真横にいるという状況はやっぱり緊張感が半端なくて、おいそれとサボれもしない。超、真剣に取り組んじゃっています。

 これぞママンの思う壺だ。さすが凄腕トレーダー、先読みのプロ。
 もしかして、先輩とちょっとくらいイイ感じになっちゃったりして! という私の読みは、見事に玉砕。

 かりかりペンを走らせながら、隣の先輩を盗み見ると……

 ん?
 園田先輩がすっと滑りこませてきたノートに、サラサラと文字を書いている。そしてそれを、また園田先輩に返す。
 それを何度も繰り返している二人に、モヤモヤっというか、イライラっとした。

 筆談ですか、そうですか。
 二人だけでこっそりとやり取りされている会話。内緒話されているようで、面白くない。

 図書館では私語禁止、んなこた分かってますけども。



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