好きで悪いか!
 え?

 園田先輩を差し置いて、私に話?
 しかも先輩の声のトーンからして、なにやら不穏な響き……。


「うん、分かった……じゃあ、先帰るね。用事終わったら、またメールしてね」

 一瞬固まってしまった後、ニコリと笑った園田先輩は、

「あ~あ、一人でカフェっちゃおうかな~」などと可愛らしくぼやきながら、去っていった。


「あ、あの……」

 じろりとこちらを見た先輩は、

「あのさあ、ちゃんと勉強してた?」

 眉をひそめ、怪訝そうに言った。
 はい?

「……してましたけど、何か?」

「嘘、ずんやり漫画描いてたよね?」

 ウソ、見られてたとは露知らず。
 超自分の世界に入りこんでしまってました。じゃないとやってらんねーって思ったし。

「自己流の勉強方法なんで。世界史、漫画にして覚えてるんです。世界史だけじゃなくて。古文や、元素記号とか、暗記ものは大体……」

 じゃないと、記憶に残らない残念な私の脳みそ。


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