好きで悪いか!
手に届く距離で遠いもの
十分ほどして先輩から返事が返ってきた。
『大丈夫。こっちこそ、巻き込んでごめん。前に言ってた生徒会の手伝って欲しい仕事だけど、今日来れる? 五時まではいるから、もし来れたら来て。無理だったら構わないから、気にしないで』
マジですか!!
返事を打つ手間も惜しんで、猛ダッシュで生徒会室へ向かった。
いやいや、廊下を走っちゃいけませんだ。競歩みたいにお尻をプリプリさせながら、早歩きで向かう。
「失礼しますっ!」
先輩が一人でいるとは限らない。生徒会室のドアを大きくノックをし、きちんとした発声で告げた。
ガチャリと開いた扉の間から、顔を覗かせたのは、園田先輩だった。
よりによって園田先輩がいるとは。ドキリとした。変な噂メールが流れていると聞いてから、顔を合わせづらいと思っていた。
勿論、私と友永先輩が噂されるような仲ではないと、園田先輩は知っているだろうけど。良い気はしないだろう。
「あ、あの……」
謝る……のも変だよね。本当はやましいことがあるのだと、認めることになる。
中にどうぞと招き入れてくれるのかと思いきや、園田先輩は私の腕を取って、ドアの外へ連れ出した。
え?
「綾仁と別れたわ。けど自惚れないでね、あなたが原因じゃないから。綾仁を好きになっても無駄よ、忠告しといてあげる」