好きで悪いか!

 傍目から見て、二人はすごくお似合いだ。

 優等生で冷静沈着な先輩が、志乃さんの前でだけツンデレる。
 志乃さんは志乃さんで、先輩を構いたくて可愛くて仕方ないという感じだ。家族目線を超えている愛情を、先輩に向けているように見えるときがある。

「親の再婚による姉弟って、多分結婚できるはずです。そういう漫画、読んだことありますもん。だから、告白もしないで諦めるの、どうかと思います。言ってみたらどうですか。当たって砕けろって言葉ありますし」

 説得する私に、先輩は顔をしかめた。

「君みたいに? 相手の立場も迷惑も考えずに? 自分が言ってスッキリしたいがために、相手に自分の気持ちを負わせて、巻き込めって?」

 歯に絹を着せない言葉が返ってきて、胸にぐさっと刺さった。

 確かにそうだ。
 私は先輩が好きだという想いを自分の中で留めておけず、園田先輩と付き合っている先輩に告った。困る、迷惑だとはっきり言われた。

 それで良かったと私は思っているけれど、先輩はあれからずっと私に迷惑こうむっている。


“見込みがないと分かってても、俺のことが好き?”

 先輩は終始一貫して、私の気持ちには応えられないとハッキリ言っているのに。
 それでも好きなんだ。好きな気持ちは無くならず、増える一方だ。

「悪いですか?」

 
 
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