好きで悪いか!
 ひょいと覗き込んでくる……可愛いというより、憎たらしいなあ、この笑顔。
 ほんの数ヶ月前までは、こんなにチャラくも馴れ馴れしくもなかったのに。

 中学のときは、こっちから話しかけてもすかした感じでさ。愛想も糞もなかったのに。
 超ナチュラルだった眉毛も、今や綺麗に整えられている。

 男も年頃になると変わるもんだな。


「はいはい、イケメンイケメン。その顔に免じて、パピコ奢ったげるよ。どの味?」

「そりゃ、ホワイトサワーでしょ」

 さも当然のように白いパピコを取ろうとする手元に、期間限定っぽい種類が目に留まる。

「こっちは? ぶどうのスムージー」

「おっ、いいね。さすがみやびさん、お目が高い」

 何だこの調子の良さ。

 異常に愛想が良い隣人とパピコを買ってコンビニを出て、半分コして食べながら、のらりくらりと家に帰った。
家、つまりは隣同士であるため、一緒に帰る?という流れが自然に。

 雅紀は近隣の高校に、自転車通学。
 私は隣の市にある高校にバス通学。バス停はこのコンビニのすぐ向かい。よって、ここから家までは徒歩。

「乗れよ」

 愛車のママチャリの荷台を顎で差して、雅紀が言った。


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