好きで悪いか!
「さすがみやびさん、いいこと言うね。けどそれって、俺がみやびのこと『好きでもないのに告ってる』ってのが、前提になってねえ? 俺、ちゃんとみやびのこと好きなんだけど」

 真っ直ぐ射抜くような瞳で告げられて、さすがに動揺した。
 私のことが、ちゃんと好き?

「みやびは? 俺どう? 意外とよくない? 灯台下暗しっていうかさ、青い鳥はすぐ隣にいたみたいな、そういうオチもよくねえ?」

 ピーヒョロロとさえずる青い鳥を、しげしげと眺めた。
 マジか。
 幸せの青い鳥というよりは、オウムっぽいよな。カラフルでお喋りな南国の鳥。


「ごめん……突然そんなこと言われても、実感が沸かないっていうか。雅紀のこと、知ってるようでよく知らないし。なんか昔とイメージ変わっちゃったし」

「イメチェン、みやびのためだし。なのにお前、俺に無関心すぎ。好きだってのもさ、態度に出しまくってんだから、気付けよ。言わなきゃ分かんねーとか、マジ鈍い。言ったからな、ちゃんと考えてから返事くれよ」

 そう言い置いて、雅紀は自転車を漕いで隣に帰った。
 しばし呆然。

“俺、ちゃんとみやびのこと好きなんだけど”

 えええ~!! いつからあ!?

 全然思い当たらない。避けられている時期には、感じ悪いなあと思ったくらいで。
 やけに話しかけられるようになってからは、性格変わったなあと思ったまでで。

 鈍いのかなあ、私。まあ高校入ってからは、友永先輩のことで頭が一杯だったからなあ。


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