枯れない花
『先生!!』
声が出てしまった。
『えっと…
芹沢、さん?』
先生は私の顔を覚えてくれていた。
『どうぞ、家に入って。』
『先生、あの…
今年で15年、ですね…』
『あぁ、そうですね。』
『咲希のことで、何か知りませんか?』
今までの事を話した。
『茜さんが、亡くなってしまったのはとても
残念です…』
でも、通報した人、つまり咲希の事は話さなかった。
ニュースでも名前が出ることはない。
だから、この事は警察と私しか知らないことなのだ。
『先生、知っていますよね…』
確信はあった。
『先生、咲希の事、茜に言いましたよね?
それに、咲希に家がない事も知ってまし
たよね?』
担任なら知らないはずがない。
『知ってましたよ…
全部…』
『他に知っていることありますか?』
『芹沢さん…
これ以上、調べない方が…
茜さん咲希さんの事を調べていたんで
しょ?』
『なぜ、知ってるんですか?』
『つい一週間前、茜さんに会いました。』
『え? そうなんですか…』
『その時、芹沢さんみたいに咲希さんの事
を教えてくれと言われました。
だから…』
『何か教えたんですか?』
『はい……
だから、芹沢さんには言えません……
茜さんみたいになってほしくない…』
『でも、知りたいんです。
お願いします。』