無理が通って道理も通す。
元々大学には行くつもりがなかった。

勉強はできればしたくなかったし、大学にいってやりたいことも無かった。

しかし、高校3年の時の担任が進路相談で「いま、就職活動をしても就職氷河期で中々就職できない」なんて言われたもんだから、とりあえず大学にいってやり過ごそうと考えた。

そしてそのまま、大学に入ったまでは良かった。

ここからだ、問題は。

あれだけ熱心に就職がどうとか言ってたのに実際はそうでもなく、むしろオレが大学に入ってからの方が氷河期はより厳しさを増していた。

案の定、就活をしても内定はもらえない毎日。

特に取り柄もなく、大学でも際立ってやりたいことも無かったオレには当然の結果だった。

そして大学4年の夏。
未だに内定が一つもない。
もう終わりだ……

そう思っていた時だった。
そんなオレを見かねた母さんが一言こういった。

「オトコで面接がダメなら女性として行けばいいじゃない」
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