無理が通って道理も通す。
会社に到着。

何回も就職の面接はやったことがあるが、これには毎回緊張してしまう。

どうも慣れない。

……いや、慣れてはいけないのだと思うが……
とくに今回は性別を偽っている。

どこでバレるかわからない。
慎重にいかなければ。

受付にいき、手続きを済ませる。
数分後、係りの人に案内され、面接の部屋へ向かう。

部屋に入ると面接官がいた。
………オレがオトコとして行った時と同じ人だ。

望み薄かもな……

そんなことを思いつつ、イスへと腰掛ける。

面接官の人はオレの履歴書を見やるとフンフンと唸った。

「ちょうどうちの課に女性の働き手がほしかったんだよね。君、真面目そうだし、ちょうどいいね。よし、合格」

………はい?

合格って言ったか?このおじさん。

いくらなんでも早過ぎだろ。

部屋に入ってから2分くらいしか入ってないだろ。

冗談か?新手の冗談か?

イマイチ信じられない面持ちのオレを見て、面接官のおじさんは言葉を付け加えた。

「冗談じゃないから安心して。正式な書類とかは君が大学を卒業する少し前に送るから。じゃね。よろしく」

そう言っておじさんは足早に部屋から出て行った。


………えぇ~~~~………………
< 17 / 25 >

この作品をシェア

pagetop