無理が通って道理も通す。
ここにいるのは、いわゆるお茶汲みのための人材である。

会議は短い時は30分ほど、長い時は午前を目一杯使って行われる。

その間、飲み物を飲まない人間などいない。

喋れば喋るほど、喉はかわく。

話し合いに夢中になっている最中、「ちょっと失礼」なんて言ってお茶を淹れるサラリーマンなど見たことがない。

……この会社以外で働いたことないからわからんが…

とにかく自分の役目は飲み物が無くなった者に対し、すかさず補充をするわけだ。

この作業が非常にめんどい。

夏場は冷たい麦茶が減るかと思い
きや、冷房をガンガンかけているので意外にも暑いコーヒーの方がウケがよかったり、冬場には暖房をつけているからアイスコーヒーや麦茶なんかがよく減っていく。

こうしていると喫茶店で働くウェイトレスになった気分である。

飲み物を淹れるとき以外は他の人達の邪魔にならないよう部屋の後ろの角で待機だ。

動かない間はとにかく時間の流れが遅い。
そして脚が疲れる。

人間、動いている時より立っている時の方が脚の疲れは増すと言われているが本当にその通りである。

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