キミとひとつになれたら
好きの理由
「あれは、雨の降る日だった……」
懐かしそうに、しみじみ話す四ノ宮くん。
「……小春ちゃん、キミだけに特別に教えてあげるけど。僕、中学の頃、いじめられっ子だったんだ」
……嘘。
意外過ぎる過去に、相づちを打つ事さえできなかった。
「あの日も…いじめられて、いじめっ子どもに殴られ、傘も取られて、道端でボーっと座り込んでた」
私が聞いてもいい話だったんだろうか?
話してる彼は、きっと辛そうな表情をしてるだろう。
「殴られた箇所が痛くて、体は容赦なく雨に濡らされた。道行く人はみんな見て見ぬフリ。そんな中……」
四ノ宮くんの指先が、私の指先に触れた。
「偶然小春ちゃんが、あの道を通りかかって……」
ギュッと手が握られた。